1. 授業の目的・内容・概要
第1に、法とはいかにあるべきか、また法に対して人間はいかにあるべきかという、法と人間・法と社会との根本的な関係(法哲学的意味における法学)を考察する。第2に、法の体系といわゆる法的思考について考察し(法解釈学的意味での法学)、基本的なリーガルマインド(法律的なものの考え方)を訓練する。第3に、法文化についてもあらゆる文化と同様に、国々によってまた歴史的状況によって異なるそれぞれに固有のものと、すべての国々または社会に普遍的なものがあることを理解する。法学概論Tbにおいて社会のなかの人間(民法を中心とする私法)を考察するのと対照的に、法学概論Uでは、社会と人間(憲法を中心とする公法)の関係に重点を置く。
2.授業のスケジュール
1 週 Course Briefing −法学概論Uの内容紹介− 【教科書 3〜10頁】
2 週 「近代」の幕開けとその時代的背景−法の社会化−【参考書『法の条件』23-29頁】
3 週 「近代市民法」の誕生とその思想的背景−法の社会化(2)【参考書『法の条件』30-37頁】
4 週 20世紀の法理念−近代法と現代法-【参考書『法の条件』52-64頁、『憲法と人権』55-60頁】
5 週 この頃(3 〜6週前後)ビデオ教材「適用される法−紛争の解決」
6 週 法と裁判 (1) 裁判と法 【教科書 85-95頁】
7 週 法と裁判 (2) 憲法14条のケース 尊属殺の事例 ヌ事例を配布−どう考えるか。
ネ判決・意見を配布−どう考えるか。【参考書『憲法判例を読む』136-141頁】
8 週 憲法−国家の基本法 【教科書 115-127頁】
9 週 人権保障のはじまりと歴史 【教科書 144-150頁、参考書『憲法と人権』12- 頁】
10 週 自由権の保障(1)【教科書 154-160頁】
11 週 自由権の保障(2)【教科書 161-168頁】
12 週 社会権の保障 【教科書 169-178頁】(またはこの頃にビデオ教材)
13 週 統治の基本構造 【教科書 179- 頁】
14 週 国際社会における人権保障 【参考書『憲法と人権』33-40頁】
15 週 「法学とは何か」に関する視聴覚教材または期末レポート作成。
3.指導方法
法学の用語には、一般社会では用いられない独特の専門用語があり、また同一の用語でも一般社会における意味とは異なる独特の用法があるので、それらを身につけるべく、わかりやすく講義し、また学生による討議を重視する。
4.成績評価方法
クラスへの貢献 (出席および発言) 、授業内での数分の小レポートおよび期末の論述式試験の三者を総合的に評価する。
5.担当者からの一言・受講上の注意等
法学概論Tbや国際関係法または国際組織法等を受講予定の学生は、なるべく本講義を受講しておいて下さい。視聴覚教材の利用などで授業スケジュールには多少の変更があります。
6.教科書・参考書
教科書 遠藤浩・久保田きぬ子編『法学入門(第4版)』有斐閣、2001年
参考書 則武輝幸編著『徹底的にわかる法学』八千代出版、2002年
中村義孝他編『憲法と人権』晃洋書房、1996年
小野田昌彦『法の条件』国際書院、1993年
芦部信喜『憲法判例を読む』岩波セミナーブック、1987年